福岡久留米の耳鼻科【田中耳鼻咽喉科】です。鼻・耳・喉の事ならお気軽にご相談ください。


田中耳鼻咽喉科
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鼻水は止めなくていい??

2013/12/19 院長ブログからの転載です。

 

とある患者さん

"子供が鼻水、鼻づまりで眠れていなくて、鼻炎薬を処方してもらうように頼んだんです"

 

ある医師

"その鼻水は体が戦っている証拠だから止めるのは良くないし、薬を飲む意味がない"

 

患者さん

"、、、、、、"

 

こうしたやりとりがあったことを、これまで何度か患者さんに教えてもらいました。この見解、正解でしょうか、不正解でしょうか?

 

体が戦うのは細菌やウイルスが体に侵入してきた際に、熱を出したり炎症を起こして追い払おうとするものです。これは主にTh1細胞が関わります。鼻の粘膜や気管についたホコリなどを粘液で洗い流したり、咳で追い払ったりするのも戦いといいますか、体の防御です。

 

それに対し、ホコリやダニ、花粉、黄砂などに過剰に反応して鼻水、くしゃみが止まらなかったり、ぜんそく発作を起こすと、アレルギー性鼻炎や喘息という病的状態となります。これは主にTh2細胞が関わり、いうなれば "余計な戦い"= "アレルギー" です。

 

もう答えを言うまでもありませんね。体にとって"必要な戦い"と"余計な戦い"を混同してしまうと、こうした誤った見解を患者さんに伝えてしまうのです。この余計な戦いにも程度があり、軽い鼻水やくしゃみを抗アレルギー剤で抑え込む必要はありませんが、眠れないような鼻水、鼻づまりであれば内服で抑える意味があります。こうなると大体副鼻腔炎を併発していますし。

 

アトピー性皮膚炎もアレルギー性鼻炎や気管支喘息の仲間で、体のどの部位でアレルギー反応が起こるかによって症状が異なっているだけです。多くのアトピー性皮膚炎の患者さんが鼻炎も持っていますし、薬も外用剤を除くと共通だったりします。有名な関節リウマチも体がいらんこと自分の関節を攻撃してしまった結果起こるもので、"余計な戦い"の最たるものです。

 

ぜんそくでヒューヒュー苦しそうな患者さんや、関節が痛くて変形しつつある患者さんに対し、体が戦っているのだから薬は必要ありません、なんて言う医師はいません。

滲出性中耳炎の治療

2013年11月21のブログ、"ご存じですか? EBM!"より転載しています。

 

1991年ころより提唱され、1995年前後より日本でも浸透してきた概念で、"根拠に基づいた医療を提供しましょう" というシンプルなものです。そんなの当たり前と感じるでしょうが、実際には病気の原因は一つではなく、個人によっても原因は様々であり、それぞれの医療機関や医師の考え方、もっといえば地域によって同じ病気であっても異なる治療が行われています。

 

そんな中、少しでも有効性の高い治療を提供できれば効率的で良質な医療になり、無駄を省いて医療費の削減にも繋げたいという厚労省の意識も当初はあったでしょう。

 

現在40歳台半ば以降の医師は学生時代に無かった概念ですので、当時は何言ってんだ?という風潮も根強くありました。心臓手術の名医と呼ばれていた先輩は"根拠に基づいた" より "経験に基づいた" 医療の方がいいに決まってるよ、と言っておりました。もちろん多くのデータを勉強して、多くの患者さんを診察して経験を積む、その両輪がベストであるのは言うまでもありません。

 

個人的なことですが、10年ほど前、少し耳鼻科を離れて免疫学の勉強をしていたころ、強制的ではありましたが毎週3-4本の英語論文を読んでいた時期がありました。月15本、年にすると200本近く読まされていました。当時は分からない専門用語が多く、辞書を片手に度々徹夜していましたが、いつの間にか辞書いらずでスムーズに読めるようになっていました (喋れませんけど)。

 

この辛かった日々が今にして役立っており、興味を持った資料は日本語であれ英語であれ、それ程苦労なく読めます。EBMの発信元は欧米が中心ですので、英文が読めることも大事なのです。

 

例えば鼓膜の奥に水が溜まる滲出性中耳炎。鼻にゴム風船を差し込んで、ラッパ、とかガッコウとか言いながらシュッと空気を送るアレです(通気と呼ばれます)。今これをされているところは無いでしょうが、お父さん、お母さん世代は経験があるかもしれません。これを週に2-3回通院して鼻水を吸ってもらった後で行ったとします。

 

3か月通って100人中40人が治ったとします。ところが通院しなかった100人中40人が自然治癒していたとしたらどうでしょう (3か月経過時点の自然治癒は40-60%)??

 

EBMに基づくと、"効果なし" です。再診料690円+鼻処置120円+通気400円+処方があれば680円=1890円、月に4回通ったとして3か月で2万2千円の医療費を使って"効果なし"。    嫌じゃないですか(笑)?通院に付き添うご家族も時間を浪費しているだけで、何だかなあ、、、です。

 

じゃあ鼓膜切開ならどうか。きちんと切開して排液すればその時はしっかり聞こえるようになります。3か月後はどうでしょう?鼓膜は切開後せいぜい10日で閉鎖して、100人中40人はまた水が溜まっています。 もうお分かりですね。EBMでは"効果なし"。1回鼓膜切開を行うと3歳未満は1万3千5百円、両側切ると2万7千円もします。

 

3か月で3回鼓膜切開して、子供に痛い思いをさせて、3か月後は何もしなかったのと同じ。これはもっと嫌、ですよね。

 

だったらどういった治療が有効か。中耳の水が鼻に抜けなければ外耳道に排出させるしかありません。換気チューブ留置です。3か月以上続く滲出性中耳炎で内服や鼓膜切開が有効としたちゃんとした論文は1本もありませんが、すべての論文で換気チューブ留置の有効性は示されています。まずは一定期間自然治癒を待ち、改善なければチューブ留置、ここに集約されています。

 

ちなみに通気はそもそも外国の医療機関では行われていませんし、基礎的な教科書にも記載すらされていません。私も研修医のころは実施していましたが、ちゃんとした知識を得てからは自然にやらなくなりました。

 

今回は滲出性中耳炎についての理論的な考え方をご紹介しました。ここに細菌感染が併発する急性中耳炎はもっと掘り下げて考えることができて面白いですので、項をあらためていずれご紹介します。

声が枯れる

2010年7月30日のブログより転載です。手抜きですみません、、、

 

声が出にくくなるとコミュニケーション上困るもので、声枯れで受診される患者さんも多く

いらっしゃいます。声は左右の声帯が中央で振るえながら接することで音をつくりますが、

声帯にしこりができたり声帯が動かなくなると声が枯れます。

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また炎症で声帯が赤くなっても同様に声は枯れます。ちくのうでのどに膿が流れ込んで

声が出にくくなることもありますが、その場合は痰も増えますので分かりやすいと思います。

 

声帯の周りにも喉頭がんや下咽頭がんといった癌ができますので、受診していただいた

患者さんはなるべくのどの奥まで鏡で見るようにしています。症状から癌が疑われる場合は

鼻から内視鏡で確認すると一目瞭然です。

 

喉頭がんは声帯に腫瘍ができれば声枯れを来たし早期発見ができますが、声帯から少し

離れたところに癌ができると症状がないため頸部リンパ節転移 (首のしこり) などをきっかけ

に発見されます。当然進行がんということになりますが、、、

 

たばこを長年すったり、なんとなくのどがいがらっぽいという症状があれば近くの耳鼻科で

一度みてもらってもいいかもしれません。なにもなければそれにこしたことはありませんので。

扁桃腺の手術は必要??

ブログに書いた内容ですが、意外と大作になりましたのでこちらにも、、、

(6/19のブログ記事そのままです)

 

 

のどちんこの両側に扁桃腺がついています。

 

"扁桃腺を取った方がいいと言われたけれども" という質問をいただきますが、扁桃腺を摘出するためには

全身麻酔での手術が必要ですから、リスクが生じます。そのリスクよりも扁桃腺を取ることでのメリットが

上回る場合は手術を検討します。

 

まず扁桃腺が膿を持って熱が出る急性扁桃炎ですが、38.5℃以上の熱が年4回以上見られる場合は

手術適応となります。それくらい熱が出るようであれば年間10日程度仕事や学校を休むことになります

ので、手術の入院が約10日間で済むことを考えると適応となります。

 

ただ絶対に手術が必要というわけではなく、扁桃炎になったときは早めに抗生剤で治療することを心がけて

おけば、成長とともに熱が出なくなることも多々あります。どれくらい扁桃炎で生活に支障が出るか、の方が

より重要な基準です。

 

注意していただきたいのは発熱が扁桃炎 (細菌) によるものなのか、のどカゼ (ウイルス) によるものなのかを

判別する必要がある、ということです。のどカゼをひきやすいだけであれば、扁桃炎と思って手術を受けても結局

熱がでることに変わりはありません。

 

扁桃炎以外では扁桃腺が大きいことでいびきや睡眠時無呼吸が見られる場合も手術を行うことがあります。

特に子供さんでは効果が大きく、手術当日の夜からいびきが消えることも多くみられました。

 

意外に思われるかもしれませんが、扁桃腺の慢性的な炎症が原因となって皮膚症状がでたり、腎臓が悪くなって

血尿がでたり、骨が腫れて鎖骨の付け根が痛くなったりすることがあります。こういった場合も扁桃腺の摘出が

有効な場合があります。扁桃炎以上に慎重な検討が必要ですが。

呼びかけに反応しないことがありますが、、、

呼びかけへの反応が悪かったり聞き返しが多いと、聞こえていないように感じてしまいます。多くは何かに集中していて反応していないのですが、時々本当に聞こえていないこともあります。

 

お耳の聞こえは音を伝えているところと音を感じるところに分けて考えます。耳あかがたくさんつまっていたり、鼓膜が破れていたり、鼓膜の奥にお水やばいきんがたまっていると音が伝わってくれません。そういった異常がないか鼓膜を確認し、鼓膜の動きをみる検査を行います。

 

それでも異常がなければ音を感じる部分に異常がないかをみる必要があります。この部分は外から目でみえませんので、実際にいろいろな音を聞いてもらい、どれくらいの音で聞こえるのか評価します。

 

両方のお耳の聞こえが悪ければ言葉の発達やコミュニケーションの問題がでてしまいますので、気になる点があればご相談ください。自分でボタンを押せない小さな子供さんは耳に音を入れて内耳 (音を受け取るところ) が反応しているか確認することも可能です。

次はいつくればいいの??

院内にも掲示していますが、次回受診日の目安についてお伝えします。

基本的には私からお伝えしていますが、不充分な点も多く、申し訳ありません。

 

  中耳炎の場合

鼓膜切開の有無に関わらず、抗生剤を開始後35日後に良くなっているか、悪くなっているかを確認します。処方しました抗生剤が無くなる頃にご来院をお願いします。

中耳炎の子供さんは色がついた鼻水が出ていることが多く、鼻がつまって寝にくい、うまく鼻が取れないなど問題があれば内服終了前であっても受診していただいて構いません。

 

  副鼻腔炎 (ちくのう症) の場合

中耳炎が無く、色がついた青い鼻水が出ている場合ですが、お鼻の腫れを引かせるお薬と必要に応じて抗生剤を併用します。まず12週間の内服で様子をみますので、お薬が切れるころにご来院下さい。

お鼻がつまってきついようであれば、鼻そうじによるばいきん(細菌)の減量が抗生剤以上に有効なことも多く、週2回程度の鼻洗浄、抗生剤吸入が有効です。その場合はお薬の残量は気にせずに受診されてください。

2歳以下の子供さんはちくのう症が原因で中耳炎になりますので、ご機嫌が悪かったり、耳を触り始めたら中耳炎に移行していることが多く、要注意です!

 

  アレルギー性鼻炎の場合

さらさら透明な鼻水の場合、内服終了時にご来院下さい。現在様々な内服薬がありますので、効果が足りなかったり、眠たくなるようであればお薬を調節していきます。漢方薬も効果がありますので、ご希望であればお伝え下さい。

鼻炎は体質によるものです。調子がいいときは内服、通院は不要です。内服終了後に調子がよければそのまま様子をみていただいて構いません。原因物質が鼻に入ってくればまた調子が悪くなりますので、その際にご来院下さい。

 

  ※ 現在はよいお薬がたくさんでてきていますので、以前のように毎日通院する必要は無くなっています。しかしお薬の効きが充分ではない場合など、頻回に受診していただく必要があればこちらからお伝えいたします。

鼻炎は治るの?

アレルギー性鼻炎の原因が花粉であれば花粉症と呼ばれ、春先に鼻症状がでてきます。

子供さんに多いホコリやダニが原因であれば1年中鼻水がでます。黄砂が飛んで来れば

さらに悪くなります。

 

こういった鼻の反応は白血球の性質によるもので、体質ともいえます。お薬での治療は

症状を緩和することはできますが、体質を変えることはできません。

 

そのため調子が良くなってお薬をやめている時期に原因となるホコリや花粉が鼻に侵入すると

また悪くなってしまいます。

 

こういったことから、治るかと聞かれますと、治りはしませんとお答えすることになります。

ただ鼻詰まりは子供さんの集中力を阻害しますし、中耳炎やちくのう症(青い鼻水)の原因

になりますので、症状がある時は治療をしていたほうが楽ではあります。

 

お薬の治療は長くかかりますので、ご希望であれば漢方薬での治療も可能です。現在は

錠剤も出てきましたので、ご希望であればお伝えください。

中耳炎になりやすいのはナゼ?

中耳炎の原因は肺炎球菌、インフルエンザ菌(ウイルスとは異なります)、モラクセラ・カタラーシスという3種類の細菌が大部分を占めます。実はこれら3つの細菌はほとんどの子供さんの鼻の中に常に隠れています。

 

普段は悪さをしませんが、まだ体力が弱い2歳以下の子供さんでは鼻の中で細菌が増えやすく、青い鼻水の中で増殖した細菌が鼻の奥から中耳に入り込んでいきます。耳管という通り道があるために感染してしまうのです。こんな通り道がなければ中耳炎にはなりませんが、耳管は中耳の圧力調整のために必要な道路です。

 

もう一つ関係があるのはウイルスです。風邪はウイルスが原因ですが、鼻や中耳の粘膜にウイルスがつくと粘膜の表面を荒らしてしまいます。その結果そこで細菌が増えてしまいます。冬場に子供さんが風邪をひくと、青い鼻が出はじめて、しばらくすると中耳炎になるのはこのためです。

 

小さな子供さんが保育園に通うようになると、そこには青い鼻がでているおにいちゃん、おねえちゃんがたくさんいます。鼻を触った手でいろいろなところを触りますので、小さな子供が同じ場所を触った手で自分の鼻を触ったり、指をしゃぶると細菌が鼻の中に移ってしまいます。保育園に通い始めてすぐ中耳炎になるのはこうして強い細菌をもらうためです。

 

やはり青い鼻がでているうちはしっかり治療するしかありません。通院されるのは大変でしょうが、、、

なぜ中耳炎を繰り返すの?

鼓膜に異常がなければ、耳の外のばいきんが中耳(鼓膜の奥)に入ることはありません。

ばいきんは鼻の奥から中耳に侵入します。

 

透明な鼻水は鼻の粘膜から出てくるもので、そこにばいきんはいませんが、粘り気のある

色がついた鼻水の中には様々なばいきんがいます。この色がついた鼻水はほっぺたの奥

(副鼻腔)からでてきますので、副鼻腔炎といいます。膿が蓄積するのでちくのうとも呼ばれます。

これが耳に上がりこんで中耳炎を起こしてしまいます。

 

この鼻水がでている間はいつ中耳炎になってもおかしくありません。4歳をすぎると体が強く

なりますのでばいきんに負けなくなりますが、1~2歳のお子さんは中耳炎になりやすいです。

 

そのため、青い鼻水がでなくなるまでしっかり治療を行い、常に鼓膜の状態を把握しておくことが

重要です。中耳炎もなりかけであれば痛い処置をすることなくお薬で治療できますので、青い鼻が

出始めたら一度鼓膜の確認をしてもらって下さい。

 

鼻炎と副鼻腔炎の違いは?

鼻炎は鼻の中の粘膜で起こる過敏な反応です。

反応の原因が花粉であれば花粉症と呼ばれます。

反応の結果として透明な鼻汁がでたり、くしゃみや鼻詰まりがでてきます。朝起きた時や夜布団に入った瞬間に急に悪くなることが多いようです(これは自律神経が症状に関連しているためにおこります)。

また、鼻血がでやすくなったり、温かいもの(うどんなど)を食べるときに透明な鼻がすたすた出やすい傾向があります。

 

副鼻腔炎(ちくのう症)はアレルギー反応ではなく、ばいきんの感染です。感染ですので鼻汁は透明ではなく色がついてきます。色がついた鼻汁の中にはばいきんがいますので、特に子供さんでは鼻の奥から耳にばいきんが上がりこみ、中耳炎の原因となります。

そのため、色がついた鼻汁がでたときはしっかり洗浄してばいきんを洗い流すことが重要です。当院では温かい生理食塩水で洗い流しますので、吸引管で吸い取るよりも疼痛が少なく、奥の方まですっきりします。

子供さんもすこしずつ馴れていけば、上手に奥の方まで洗えるようになり、結果として中耳炎にかかる回数を減らすことができます。

 

鼻炎と副鼻腔炎は全く異なる病気ですが、鼻炎があることで鼻の中の通りが悪くなり、結果としてばいきんが住み着くことになります。そのため鼻炎、副鼻腔炎の両方持ってしまっている子供さんが多く見受けられます。

あせらずに鼻炎のお薬を飲み、しっかり鼻の洗浄を行っていきましょう。